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生麦事件 下巻

生麦事件下巻も読み終えました(上巻に関する記事はこちら)。



1862年の生麦事件をきっかけに薩英戦争が勃発し、長州征討、薩長同盟、大政奉還、明治新政府樹立へと大きく国が動いた幕末の歴史を、毎朝起き抜けの読書タイムに少しずつ手に汗握りながら読みました(就寝時は布団に入ると3秒で寝てしまうので読書できません💦)。

薩摩藩とイギリス、長州藩と四国連合艦隊、薩摩と長州、それぞれの間で和議が結ばれていく様子を読むたびに、「昨日まで命をかけて殺し合う憎い敵だったのに、すぐに和議を結んで友好関係に転換できるなんて嘘くさい」と訝しく思いましたが、いずれも武器の売買取引成立によるものだったという共通点を見出し納得しました。結局、4国連合艦隊のうち、アメリカとは100年も経たないうちに再び戦争がおきてしまいましたね。


以前ブログにも書きましたが、戦争を経験した知り合いのご婦人が「戦前戦後を生きてきて70年以上経つけど、今の日本はまたおかしな状況になっていると思うのよ」」と言われるほど、ここ数年世界中に漠然とした不穏な流れが渦巻いています。

 

我々は絶対に負の歴史を繰り返してはならず、是が非でも戦争を回避しなければなりません。

防衛費増額しか考えず対中関係を益々悪化させ、トランプから武器を買って友達になったつもりでいる現政権は薩摩・長州両藩の姿と重なります。このままいくと結末は75年前と同じです。

外務省にはもっと外交交渉でがんばって頂きたいですし、外交成果を国民にアピールしてもらいたいです。


通訳として興味を持ったエピソードもいくつかありました。

薩摩の言葉が全くわからない通詞のために日本語の通訳が必要だったことや、英語日本語の通詞がいなかった頃は、英語→蘭語→日本語の2段階を踏んで通訳されていて段々と語気が和らいで伝わり日本側は丁寧な口調が当たり前と思っていたところ、イギリスと幕府の会議でシーボルトの息子が英語日本語の通訳を行ったとき、直接的で厳しい表現のまま訳され叱責されたため、慣れてない幕府側は面食らったそうです。その時代ならでは、ですね。


また、「あとがき」によると、生麦事件を英国の報道資料を通して研究している日本の研究者がいるとのことで、別の角度から歴史を検証することは大変重要だと思いました。


上下巻を読み終えて、最も心に残った人物は「坂本龍馬」でした。

有名すぎるほど有名な人ですが、私はごく一般的な情報しか知らず、積極的に調べたいとも思ったことはありませんでした。

この小説の中では坂本龍馬に関する記述はごく僅かだったのですが、「潤滑油のような人物」という描写を読んで一気に興味がわきました。 僭越ながら、私もこれまで何度か同じようなことを言われたからです。


私は、自分の気持ちを偽ってでも相手に合わせることができないので、スルースキルは低いです。ただ、通訳の仕事中は中立的な立場を求められるので、本来の性格や信念とは無関係に潤滑油的なスキルを身につけていたのかもしれません。


坂本龍馬を知ることで、自分自身をさらに見つめ直してみたいと思いました。


というわけで、今度は夫の書庫から司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を選びました。全8巻です。吉村昭の小説に比べると文体が易しくてスイスイと読めそうです。


最後に、昔書いた記事を紹介します。

「潤滑油」というキーワードで記事の存在を思い出し、引っ張り出してみました(このパターン、多いですね💦)

以前、職場の社内報のようなものに掲載された、海外赴任時に入院した時のエピソードです。もう、27年前のものです。

「時間と共に大きな成果が自ずとあらわれてくるでしょう」の下りがずっしりと胸に響きます。