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知の探究


先週火曜日。

ある重要会議に出席し、思いがけず長年やってきたことが報われる歴史的展開(少々大袈裟ですが、、)が訪れました。本当にうれしい一日でした。

会議は都内で、しかも午前中に終わったので、急遽思い立ち、がんばってきた自分へのご褒美と思って、あるイベントに参加しました。


いつも音楽活動を応援してくださっている専修大学の長谷川宏教授がFacebookに投稿されていてこのイベントのことを知りました。

以下、長谷川さんのウォールより~

「チョムスキーの言語理論(生成文法理論)って、興味はあるんだけどなんかむずかしそうだな」と思っていたあなた、9月4日(月)14:00に、慶應大学三田キャンパスへぜひ…! お話しされる福井直樹さん(前カリフォルニア大学教授、現上智大学教授)は、チョムスキーが教鞭をとってきたMIT(マサチューセッツ工科大学)言語学科が生んだ、世界でももっとも優れた言語学者の1人です!優秀なだけでなく、話がおもしろくて知的刺激にあふれている…! 今回は言語学を今まで勉強したことがない人にもわかるようにお話しされるそうなので、ぜひご参加をお勧めします…! 事前申し込み不要、シェア歓迎…!(ご来場になって私(長谷川)がおわかりになりましたら、お声をおかけください…!) 」

物凄く興味をひかれました。

これまで、自分の外国語習得の過程を言語学的に考察するなんていう発想が全くなかったので別の角度からみるのも面白いかもと思ったことと、ブラジル音楽の歌詞を分析する論文の中に言語学的アプローチのものもあり、より深い理解のために言語学というものに少しでも触れてみたいと考えていたので、エイヤーという感じで会場へ向かいました。

ちなみに、私がノーム・チョムスキー氏という偉人を知ったきっかけはアメリカとラテンアメリカの政治的関係に関するチョムスキー氏の言論を通してであり、偉大な言語学者だったことは長谷川さんから教わったほどの門外漢です。。。。

いやー、頭から煙が出そうになるほど、難しい内容でした。

とても一般向けではなかったことを、会場に入って即座に察知しました。

聴けば全国から研究者の方々が参加されていたとのことで。。。

ハードルは相当高かったです。

しかし、長谷川さんの前振りの通り、福井さんのお話にはよどみがなく立て板に水のごとくスラスラとお話になるので、難しいはずなのにぐーっと引き込まれました。

一語一句聴き逃すまいとする、通訳の習性も働いたように思います。

講義は日本語でしたが、かなりの割合で英語の単語が織り交ぜられていました。

その単語の多くが、スペイン語やポルトガル語で今まで読んできた書物の中で触れたことのある単語だったこともあり、たとえ説明の本質を理解できていなくても、英語の単語を他言語からとらえるという奇異な現象が自分の頭の中で起きていることを客観的に面白いと思ったのでした。英語の論文を読んでいたらそんな回りくどいことは起こらなかったことでしょう。

また、乏しい知識ながら、「こういうことなのかな」と無理やり身近な話題に関連付けて聴いていました。

たとえば、「単純性(Simplicity)」については、極限までそぎ落とすことの重要性を、言語学と離れた生活の中で結び付けたり(例:物が溢れかえってなんでもかんでも飾り立てている現代日本の居間のごたごた感に対してや、私のブログのような長い文章ですね。。。)、問題意識をもち、理論的にその解決方法を探ろうとする一連の過程と日々の自分の業務との共通性を見出してみたり。。。はたまた、言語学には数学的センスが必要だ、という話を聴き、そういえば「数独」をやり始めて問題解決能力が高まってきた気がするな、など。

完全にこじづけ状態でした。。。

この日は娘のテニス送迎があったので、前半のみ(それでも2時間)で退席を余儀なくされました。

帰宅したあと、猛烈に難しい内容が後を引き、闘争心(?!)を駆り立てられ、ぜひもう一日だけ聴きたい!と思って、無謀にも再挑戦しました。

同じく頭から煙が出そうになりましたが。。。

気が付けば、4時間あっという間に終わっていました。

この日のテーマは「日英語比較統辞論」で、私にとっての最大の収穫は「言語学の内容が各言語によって異なるか」という疑問に対して、そうではないことがわかったことでした。

長谷川さんともご挨拶できました!(ご一緒に記念撮影しなかったのは残念です!)

「今日は女学生みたいですね~」と開口一番おっしゃられて思わずうれしくて笑ってしまいました^^

福井さんを紹介して直接お話する機会を与えてくださったり、長谷川さんの書かれた書評が掲載された出版物をプレゼントしてくださったり、長谷川さんには本当に心から感謝です!!!

モキチライブにご一緒に来て下さった同じ言語学者の才色兼備なお客様とも再会できて少しだけお話できたのも嬉しかったです。

みなさん、全くの場違いの私をやさしく受け入れて下さり、懐の深さを感じました。

今回の講義を聴くことで、言語学者の方々の脳の構造が一体どうなっているのか覗いてみたくなるほど、この分野の専門の方々に対して深い尊敬の念を抱きました。そして、チョムスキー氏や福井さんや長谷川さんのように、言語学を通して論理的思考力(科学哲学?)を培うことで社会に対する問題意識を持つオピニオン・リーダーになりうることがわかりました。言語学の役割その分野に留まらないのですね。

まずは、「生成文法の企て (岩波現代文庫) 文庫 – 2011/8/19 ノーム・チョムスキー (著), 福井 直樹 (翻訳), 辻子 美保子 (翻訳) 」から読んでみたいと思います。


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