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技術、戦術、戦略

通訳駆け出しの頃、日本の高校生水球チームのスペイン・バルセロナ合宿に約3週間帯同する仕事をいただきました。


スペインは水球が盛んな国です。私たちが訪問した1998年の世界選手権でスペインは金メダルをとりました。


水球のルールを全く知らずに請け負ってしまった私は、まず日本語のルールブックを読み、その後スペイン語の資料を集めました。

当時は今のように気軽に洋書が手に入る時代ではなく資料入手は一苦労でした。

今は本当に便利な世の中になったものです(遠い目)。

当時スペインから個人輸入してこの本を購入しました。



WATERPOLO. TECNICA-TACTICA-ESTRATEGIA.: LLORET RIVERA,MARIO

「水球:技術、戦術、戦略/マリオ・リベラ・ジョレ著」 


この本を手にした当初は「戦術」と「戦略」の違いすらわかりませんでしたが、 読み進めていくうちに、技術の有効な使い方が戦術で、戦術をどう使って勝利するかが戦略だと理解しました。


例えば、水球にも「速攻」という攻撃バターンがあります。スペイン語では「Contraataque」と言います。

速攻は戦術の一つで、速攻を行うためには速い泳力=技術が必要です。そして、むやみやたらに速攻をやれば勝つかというとそうではなく、相手の出方をみながらどのタイミングで行うかを見極めるのが「戦略」だとわかりました。

スペインから帰国した後、今度は日本側が招聘した元スペインナショナルチームのコーチに3か月同行して通訳を行い、水球漬けの毎日を送りました。

コーチがプール内で叫ぶのと同じテンションで通訳しないと選手には伝わらないのでまるで自分がコーチになったみたいな錯覚にも陥りました。懐かしいです。


この仕事をきっかけに、何をする時でも「技術、戦術、戦略」を念頭に置き、戦略を立てて目的を達成するように心がけてきました。


教える仕事では、生徒さんのレベルや経歴、性格を分析し、どうアプローチするのが効果的かお一人お一人考えながらレッスンを組み立てています。


今まで私自身が音楽に限らず多種多様なレッスンを受けてきてわかったのが、教えてくれる講師がその分野で活躍し高い技術を有しているからといって必ずしも教えるのもうまいとは限らないことです。技術は教えられても戦術や戦略まで立てられる指導者ばかりではなく、酷い例では前回のレッスンで何を教えたかも覚えていないその場しのぎのレッスンもありました。 逆に、優れた指導者の中には現役時代には振るわなかった方も数多くいます。

例えば、競泳日本代表ヘッドコーチの平井伯昌さんはご自身はオリンピアンではないけれども、北島康介選手ほか数多くのトップ選手を育ててこられました。選手育成のための戦術と戦略をいくつもお持ちなんだろうと思います。


さて、我が国の指導者をみてみましょう。

今の政府は技術の段階から欠けている政治家が動かしていますから、当然そこには戦術も戦略もありません。次から次に「やっぱり訂正します」のオンパレードに、「Basta ya!(もううんざりだ)」と毎日叫んでいます。


そこで、私からの重大な提案です!

公務員試験と同じように、政治家にもまずは候補者として相応しいか一般常識の試験を課し、合格した人が立候補できるというシステムを作ってはどうでしょうか。理解力がないのに法案なんてそもそも考えられるはずがありません。世襲議員には特に試験が必要です。


そして、晴れて試験に合格し選挙に当選した政治家たちは、今度は国民の痛みを知るために、医療や福祉、教育など様々な現場へ研修にいって社会の実情を学び戦術と戦略を考えてもらいます。


そんな政治家たちが国を引っ張ってくれていたらと想像すると、ワクワクしてきませんか???


「やっぱりできませんでした、ごめんなさい」が幾度となく繰り返され、誰も責任をとらない今の日本の政治にはもう我慢の限界です。


子どもたちには絶対引き継がせたくない悪習は断ち切らなくてはなりません。

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