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縁とはかくも不思議なものその4 〜後編


前回までのお話です。

その4 前編 中編

こうして、私のドジ大連チャンのせいで大幅に到着が遅れてしまい、その間に親友Cちゃん親子は五右衛門風呂の準備を済ませてくれていました。Cちゃん撮影

父の生家もかつては五右衛門風呂だったので、私もこんな風に手伝いをしていました。

一人で火が点けられるようになったときなんとなく大人になった感じがしたのをおぼえています。

内部の写真です。「カンパイ!広島県」さんより

Cちゃんと感動の再会を十分味わったあと、夕食の用意にとりかかりました(ほとんど女将の千尋さんが事前準備をしてくださっていましたが・・・)。

新鮮野菜

かまどで炊いたごはん。おこげがおいしかったです~♫

撮影:Cちゃん

右:準備を手伝うお姉ちゃんたちと、その様子を見守る「お古」のお子さんたち

左:食堂のおばちゃんの私。ちょっとわかりにくいですが、残飯用のバケツに野菜の種を落としています。このバケツの位置も父方の田舎と全く同じで懐かしかったです。

お古さんに来てまず目に留まったのは、子どもたちが伸び伸びと暮らしている様子でした。

段差があってけがしそうなところは一杯ですが、「子供は自然と学んでいくんで大丈夫です。」とお母さんの千尋さんは穏やかです。下のお子さんはちょうどおむつがとれそうな時期で、おむつしていなくてもどこでおもらししても気になりません。子どもたちを大らかに包んでくれるのが昔ながらの日本家屋の良さだわ~と、改めて感じました。

都市部で子どもを育てていると「他人に迷惑をかけないこと」にばかり重きがおかれ私は言いようのない息苦しさと不自然さを幾度となく感じてきました。公共の場所でお母さんが子どもたちにピリピリしている様子をみるといつも気の毒に思ってしまいます。 歌手の宇多田ヒカルさんが「日本は子育てしづらい」とおっしゃっていましたが、「日本」、じゃなくて、「日本の都市部」だと思います。こんな場所だったら、何人も子供産んで育ててみたくなるだろうな~って思いました。Cちゃんが広島に帰った理由も、県北に住みたいといっていた理由もこの時肌で理解した気がしました。

夜は、千尋さんのご両親も来られて一緒にテーブルを囲みました。かつては盆正月、こんな風に大勢で集まっていた頃を思い出し、懐かしさと切なさがこみ上げてきました。

夕食後はセッション! お父さまの尺八も拝聴しましたよ♫

子供たちはゲンさんのウクレレに興味津々でした!!

そして真夜中。

空一面に輝く星を見ました。いつまでもいつまでもみつめていたい光景でした。

私は、なんて素敵な場所で育ててもらったんだろうかと、両親と先祖への感謝の気持ちが溢れると同時に、亡父が昔書いてくれた文章を思い出しました。

一部紹介したいと思います。

 

~自然と子供たち(亡父・1978年4月小学校PTA文集への寄稿文)より~

私の家族は、妻と長女(小学4年生当時)と次女みどり(小学2年生当時)の4人家族です。

田舎に母が一人居りますので、日曜日などよく家族で田舎に帰りますが、家に着くや否や子供たちの姿が見えなくなります。

何をしているのだろうか、と見てやると、二人でトンボをとったり、花をつんだり、池の方へ行って鯉に餌をやったりして、本当にのびのびと遊んでおります。私共が農作業をして居りますと何か手伝いはないかと言ってついてまわります。私ども子供のころには、手伝いをしながら母子の対話をしたものですが、現在は農作業も機械化が進み、子供の出る幕が無くなってしまいました。

この間新聞を読んでおりましたら、”自然がこわいよウォー”という見出しの記事が載っていました。

「伊豆にある別荘に高校二年生のS子たち女子ばかり5人で出かけました。普段はあまり使わないので家の中を掃除して入るように言っておいたのですが、彼女らはそこに泊まらずに帰ってきてしまいました。大きなクモが一匹いたのでこわくなって引き返してきてしまったとのことでした」都会では虫の駆除も徹底して行われるから、たまに見るクモに怪獣のような驚き方をする、とありました。

生活の中から自然が次第に遠のいてしまう。

虫はデパートで売っているカブトムシしか知らない子供は、何かが欠けたまま成長してしまうでしょう。テレビやマンガ、参考書や問題集から与えられた知識は増えても、本物に接していないがゆえの欠陥はいろいろのかたちで出て来ていると思います。

この様な現実の中で、私達の身近には都会では得ることのできない大自然があるのです。のびのびと育ててやりたいものです。

 

お古さんが宿の暮らしを通して伝えたいことと、亡父のかつての私たち娘たちへの想いと共通しているものを感じました。

忘れかけていた思い出を、お古さんが一杯思い出させてくれました。

こうして、大好きな親友Cちゃん家族と、ゲンさんと、私たち親子のでこぼこフレンズは、お古さんにて充実した一泊二日を過ごしました。また帰省したときには泊りにいきたいです!! 茅ヶ崎から庄原へと繋がった縁。偶然のようで必然。 縁は不思議で面白きもの、ですね(完)

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